暮らしの中のお菓子と、洋酒のこと
カントリーの暮らしと、洋酒の話
カントリーのお菓子づくりは、
もともと特別なものではありませんでした。
冷蔵庫もなく、
今のように甘い材料が簡単に手に入らなかった時代。
にんじん、りんご、かぼちゃ、ナッツ。
身近にある素材を使って、
どうしたら少しでも満足感のあるおやつになるか。
そんな工夫の中で、
スパイスやドライフルーツと同じように
洋酒もまた、暮らしの中で使われてきた素材だったのだと思います。
保存のため。
香りを添えるため。
そして、時間が経っても美味しく食べるために。
JELLY BEAN’Sのお菓子にも、
ほんの少しだけ洋酒を使うことがあります。
お菓子用の洋酒ではなく、
普段飲むのと同じ、ちゃんとしたお酒。
それはアルコール感を出したいからではありません。
香りの立ち方や、焼き上がったあとに残る余韻が、
素材と自然につながってくれるからです。
洋酒は、
生地に直接入れるよりも、
ドライフルーツに漬けて使うことが多いです。
レーズン、いちじく、
クランベリーやアプリコット。
それぞれの果実に合わせて、
少しだけ洋酒を含ませ、
時間をかけて、ゆっくり。
洋酒を吸ったドライフルーツは、
甘さや酸味の角が取れて、
味わいが、静かに落ち着いていきます。
それは何かを足すというより、
果実がもともと持っている良さを、整えるような感覚。
この工程も、
カントリーの暮らしの延長にあるものだと思っています。
焼く直前に慌てて混ぜるのではなく、
前の日に仕込んでおく。
少し先の時間を思いながら、手を動かす。
そんな時間の流れも含めて、
お菓子づくり。
洋酒は、
ドライフルーツを主役にするためのもの。
自分を主張することはなく、
果実の香りや甘みを、
ちょうどいい場所に連れていく役目です。
だから、使うのはほんの少し。
それで十分だと思っています。
子どものためのおやつというより、
夜、コーヒーや紅茶を淹れて、
静かな時間に食べてほしいお菓子。
カントリーの暮らしの中で育まれてきた、
そんな焼き菓子の在り方に、
私は今も惹かれています。
“Baked to be shared, with a gentle touch of spirits.”
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